受賞者
1968 酒井淑夫(としお)
(UPI通信社)

<特集写真部門>

「静かな雨、静かな時」
 撮影場所:ベトナム 静かな雨、静かな時
1966 沢田教一(きょういち)
(UPI通信社)

<写真部門>

「安全への逃避」
 撮影場所:ベトナム 写真
※ベトナム戦争時、サイゴン(現ホーチミン市)北方650キロの農村で、爆撃を避けようと川の中を逃げまどう母子の姿をとらえた。受賞者の沢田氏は、UPIサイゴン支局カメラマンだった。1965年9月6日、農村で展開された米海兵隊の掃討作戦に従軍。母子が川を泳いで逃げるところを撮った。ベトナム戦争の核心をとらえたとして、受賞作に選ばれた。沢田氏はその後も戦場写真を撮り続けた。1970年10月、カンボジアで被弾。34歳という若さで死亡した。
1961 長尾靖(やすし)
(毎日新聞)

<写真部門>

「浅沼社会党委員長の暗殺」
 撮影場所:東京 写真
※安保闘争の余韻がまだ色濃く残る1960年10月12日、東京・日比谷公会堂で行われた自民、社会、民社3党首演説会。社会党の浅沼稲次郎委員長が17歳の右翼少年に刺し殺された。その決定的瞬間をとらえた。刃物を持つ少年と委員長の動きがピタッと静止している。

惨劇は、わずか5秒ほどの間に起きて終わった。受賞者の長尾氏のカメラにはフィルムが1枚分しか残っておらず、「ひたすら、あわててはいけない」と思ったという。距離を15フィート(約5メートル)に合わせて、シャッターを切った。とにかく夢中だったという。

写真はUPI通信を通じて世界に流れた。ピューリッツァー賞(副賞1000ドル)だけでなく、世界報道写真賞やアメリカの数々の賞に選ばれた。

長尾氏は1953年に千葉大学工学部を卒業し、毎日新聞社に入社。1962年に退社し、フリーカメラマンとして活動した。